10秒でわかる!要点まとめ


1. 概要:クライアントの「Yes」を引き出すためのシナリオ

企画提案書とは、クライアントが抱えるビジネス上の課題や目的に対し、Webサイト制作やリニューアルを通じてどのように解決し、どのような成果(KGI)を達成するかを論理的に提示するドキュメントです。

単なる「デザイン案集」ではなく、「現状分析」→「課題提示」→「解決策(企画)」→「実行計画(予算・スケジュール)」という一連の流れを説得力のあるストーリーとして構築します。この提案書がクライアントに承認されて初めて、プロジェクトが始動するため、ディレクターの仕事における「最初の、そして最大の山場」となります。

2. なぜ重要なのか:予算と信頼を獲得する「営業ツール」

クライアントへの提案が成功しなければ、プロジェクトは開始されず、これまでのリサーチや設計の努力はすべて水の泡となります。企画提案書は、クライアントに「この企画に予算を投じる価値がある」と納得してもらうための、最も重要な営業ツールです。

特に企業の決裁者は多忙です。何十ページもある提案書を隅々まで読む時間はありません。冒頭の数ページで企画の全体像、メリット、そして投資対効果(ROI)が明確に伝わる構造になっていなければ、内容が充実していても採用されることはありません。

3. 実務のポイント:構成と客観的な裏付け

承認を得やすい企画提案書を作るための鉄則は、以下の構成を遵守することです。

  1. 結論先行(エグゼクティブサマリー):提案書の最初のページに、企画の目的、提案内容、期待効果の3点を簡潔にまとめます。まず結論を伝えることで、読み手は後の内容をスムーズに理解できます。
  2. 現状分析と課題提示:「競合はこうだが、御社はこれができていない」「データに基づくと、スマホユーザーの離脱率が課題」といった、客観的な事実(データや3C分析)を根拠に課題を提示し、共感を得ます。
  3. 収支計画(予算・ROI):感情論ではなく、「この予算(コスト)で、これだけの売上(リターン)が見込める」という収支計画を明確に示します。定性的なメリットだけでなく、数値目標を提示することが決裁を促します。
  4. ビジュアルの活用:文字が詰まったページは読まれません。図やグラフ、ワイヤーフレーム、ムードボードなどを活用し、視覚的に訴えかけるデザイン(レイアウト)も重要です。

4. スキルアップのヒント:「Why」から始めるストーリーテリング

企画提案書は「How(どう作るか)」から書き始めるのではなく、「Why(なぜ今、これを作るべきなのか)」から始めるストーリーテリングを習得してください。

クライアントが抱える「痛み」や「夢」といった感情的な部分に語りかけるコピーを冒頭に配置し、その後に論理的な「解決策(企画)」を提示する構成が人の心を動かします。また、プレゼンテーションのスキルも不可欠です。作成した企画書を、限られた時間で端的に、かつ熱意をもって伝える練習を繰り返すことで、提案の成功率は劇的に向上します。