Webサイト企画とは、単に「どんなページを作るか」というサイトマップや画面構成を考えることではありません。クライアントが抱えるビジネス上の課題(集客不足、採用難、ブランディングなど)を特定し、それをWebという手段を使ってどう解決するかという「シナリオ」を描く工程です。
「誰に(ターゲット)」「何を(コンテンツ)」「どのように(UI/UX)」「いつ(タイミング)」伝えるかを定義し、最終的にクライアントの利益(ROI)にどう貢献するかを論理的に構築します。建築で言えば、実際の図面を引く前の「基本構想」にあたり、プロジェクト全体の方向性を決定づける羅針盤の役割を果たします。
ディレクターにとって、企画力は最も差がつくスキルです。なぜなら、企画段階での方針が曖昧だったり、ターゲット設定が間違っていたりすると、その後どれだけ優れたデザインや高度なプログラムを実装しても、成果(コンバージョンやアクセス数)が出ないからです。
また、制作進行においても重要です。企画の軸がしっかりしていないと、クライアントの好みの変化や、制作スタッフの解釈の違いによってプロジェクトが迷走し、修正の繰り返し(デスマーチ)を招きます。「なぜこのサイトを作るのか」という強力な根拠があれば、迷ったときの判断基準となり、チーム全員をゴールまで導くことができます。企画はプロジェクトの「安全装置」でもあるのです。
経験の浅いディレクターが陥りがちなのが、ヒアリングをしてすぐに「こんなデザインにしましょう」「こんな機能を入れましょう」と、いきなり解決策(Output)の話をしてしまうことです。 実務では、まず徹底的な「現状分析」から始めます。
これらが固まって初めて、具体的なサイト構成や機能の話に入ります。論理(ロジック)で骨組みを作り、感性(クリエイティブ)で肉付けをするバランス感覚が求められます。