ディレクターにおけるプレゼンテーションとは、単に作成した資料を読み上げて情報を伝達することではありません。クライアントやステークホルダー(関係者)に対して、提案内容の意図や価値を正しく理解してもらい、最終的に「これで進めましょう」という**「合意(Goサイン)」を獲得するためのコミュニケーション設計**そのものです。
提案コンペ(入札)での受注獲得はもちろん、定例会でのデザイン確認、追加予算の交渉、トラブル時の報告など、プロジェクトのあらゆる場面で必要とされます。論理的な「説得」と、感情に訴える「共感」の両輪を回し、相手を動かすパフォーマンスと言えます。
極論を言えば、どんなに素晴らしいWebサイトの企画やデザインを作っても、プレゼンで承認されなければ、そのアイデアは世に出ることはありません。制作チームが必死で作った成果物が日の目を見るかどうかは、ディレクターのプレゼン力にかかっていると言っても過言ではないのです。
また、プレゼンは信頼獲得の場でもあります。「この人の言うことなら任せられる」と信頼されれば、その後の制作進行においてクライアントからの細かい干渉が減り、チームが動きやすい環境を作ることができます。逆にプレゼンが頼りないと、不安から細微な指摘が増え、プロジェクトが難航する原因になります。
実務で最も避けるべきは、プロジェクターに映した資料をただ棒読みすることです。資料には詳細が書いてあっても、口頭では相手の目を見て要点を語りかけてください。