10秒でわかる!要点まとめ


1. 概要:ネットの海から「生の声」をすくい上げる

SNS分析(ソーシャルリスニング)とは、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのソーシャルメディア上で、ユーザーが自発的に発信している口コミや会話を収集・分析する調査手法です。

企業側が質問を用意するアンケートやインタビューとは異なり、ユーザーが生活の中で自然につぶやいた言葉を対象にするため、バイアス(偏り)の少ない「本音」や、企業側が想定していなかった「意外な利用シーン」を発見することができます。商品開発、プロモーションの反響測定、ブランドイメージの把握など、あらゆる企画の初動で活用されます。

2. なぜ重要なのか:「空気」を読めない企画は滑る

現代のヒット商品は、SNSでの「共感」や「話題性(バズ)」から生まれることが多くなっています。今、世の中で何が流行っていて、何が批判されているのかという「文脈(コンテキスト)」を無視した企画は、誰にも刺さらないばかりか、思わぬ理由で批判を浴びて炎上するリスクさえあります。

また、Webサイトのリニューアルなどにおいても、「今のサイトのどこが不満か」をSNSで検索すると、問い合わせフォームには来ないような「動作が重い」「ボタンが分かりにくい」といったリアルな苦情が見つかることがあり、改善の重要な手がかりになります。

3. 実務のポイント:検索クエリの設計と「感情」の分類

ただ漫然とタイムラインを眺めるのではなく、目的意識を持った検索技術が必要です。

  1. 検索ワード(クエリ)の工夫:正式名称だけでなく、「略称」「あだ名」「よくある誤字」も含めて検索します。また、「○○(商品名) + 使いにくい」「○○ + やめたい」といったネガティブワードをあえて掛け合わせることで、課題を抽出します。
  2. ポジ・ネガ分析:集まった投稿が「好意的」か「批判的」か、その感情の色分けを行います。数は多くても内容がネガティブであれば、施策は失敗している可能性があります。
  3. インフルエンサーの影響度:誰がその話題を広げているか(起点)を特定します。数字を持っている人だけでなく、特定界隈で信頼されている「マイクロインフルエンサー」の動きを見逃さないことが重要です。

4. スキルアップのヒント:検索コマンドを使いこなす

X(旧Twitter)には高度な検索コマンドがあります。 例えば「min_faves:100(100いいね以上のツイートのみ表示)」や「until:2024-01-01(指定日までのツイート)」、「-filter:links(URL付きを除外=宣伝を除外して純粋な会話を探す)」などです。

これらを組み合わせて、「ノイズを除去して、本当に価値のある声だけを抽出する技術」を磨いてください。無料ツールの「Yahoo!リアルタイム検索」を日常的にチェックする癖をつけるだけでも、トレンドに対する感度は劇的に上がります。